7.台風モデル実験 (1)台風とは 熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼び,このうち北西太平洋で発達して 中心付近の最大風速がおよそ17m/s(風力8)以上になったものを「台風」と呼びます。 台風は積乱雲が集まったもので,暴風とともに広い範囲に長時間にわたって大雨を降ら せます。十分に発達した台風では,垂直に発達した積乱雲が眼の周りを壁のように取り 巻いており,そこでは猛烈な暴風雨となっています。この眼の壁のすぐ外は濃密な積乱 雲が占めており,激しい雨が連続的に降っています。 台風のエネルギー源は海水から蒸発した水蒸気が凝結するときの潜熱の放出で,このエ ネルギーが上昇流を強め,さらに下層での水蒸気を多く含んだ大気の収束を強める,と いうように,大規模に組織化されたシステム(第2種条件付き不安定:CISK)をもちます。 (2)台風モデル実験 回転台上の中心に熱源(ヒーター)を置き,上昇流を作ります。 回転台を反時計回り(北半球と同じ)に回転させ斜め上方から見るカメラを回転台に固 定して撮影します。熱源が起こす上昇流に引きずられて縁辺部から入り込んだ雲がコリ オリ力を受けて右に曲げられ、装置の角速度を追い越して、やがて低気圧性回転の渦が 生じる,というようすがよくわかります。また,上層では周辺に発散する雲も見られます。
台風の衛星画像:高知大学気象情報頁より
台風の断面模式図
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