11.偏西風波動モデル実験

(1)偏西風波動とは
 500hPa北半球高層天気図を見ると,等高線が南北に波打っています。地衡風が等圧面等
高線に沿って吹くことから,偏西風が南北に蛇行しながら吹いていることが推測されます。
これを偏西風波動といいます。偏西風波動が生じる説明は容易なものではないのですが,
モデル実験を行ったり,その映像を見たりすることによって,地球の熱収支からくる大気
循環と地球の自転が原因となって生じていることを実感しておくことが理解につながります。

(2)三重の水槽による偏西風波動の再現
 地球を北からみると,中央の極が寒く,周辺の赤道付近が暑くなっています。
  中緯度では,その温度の傾度が大きいこともわかります。
  そこで,三重の水槽(内側を氷水,その外側を常温の水,最も外側を50℃程度の温水)を
 作って北半球回りで回転(10〜20回転/分程度)させます。

 

(3)水槽で見る偏西風波動
  南北波動を伴った西風に相当する水流が生まれます。中心から外に向かってふくらんでい
る部分は低気圧性回転の渦度をもっており,気圧の谷(トラフ)に相当します。外から中心
に向かってふくらんでいる部分は高気圧性回転をもっており,気圧の峰(リッジ)に相当し
ます。水流が西風のようになっているだけではなく,波の位相も西から東に進んでいます。
  波の数は,温度傾度や回転速度でかわりますが,地球の波も数が変化します。

 
  

 
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