104.光の性質4−曲線経路の光(寒天の利用)−

(1)曲線経路の光
  屈折率が連続的に変化する媒質中では波が曲線となって進みます。
     ・固体地球内部の地震波
    ・大気中の光(天体の視位置の浮き上がりによる大気差)
    ・温度差によって生じる音波の曲線的な進行方向
   これらの現象は、物理を学習していないと直感的にわかりにくいものですが、寒天中を曲線
 経路で進行する光線を実際に観察することで理解を助けることができます。

(2)寒天を使うのは
  一つの物質で連続的に屈折率が異なる状態を作るのは難しいですが、寒天にショ糖を溶か
 すとその濃度に応じてほぼ線形に屈折率が変化するので、この性質を利用します。
 
 
(3)作り方
  @ ショ糖濃度を変えた(0〜30%)寒天液を10種類程度用意する。
  A 直方体の容器に最も濃度の小さい寒天液を高さ5mm程度流し込む。
  B 寒天が固まってきたら次の濃度の寒天液を同じように流し込む。
  C 残りの寒天も同様に流し込む。

(4)作った寒天の保管
  作った寒天は放置しておくと数日でかびだらけになりますが、ラップで包むだけで10日間程
 度はきれいなままです。防腐剤の塗布も効果的だと思われます。

(5)蜃気楼
  地上(海上)付近の空気層の鉛直温度分布勾配が大きいときに、蜃気楼が見られます。
  次の2つのタイプがあります。
  @相対的に気温が高いところへ、冷たい河川水が流れ込んで生じる「蜃気楼」
  A相対的に水温が高いところへ、寒気が入り込んで黒いかげが浮いて見える「浮島現象」
  夏のアスファルトの「逃げ水」はAのタイプになります。


  
 
 
    2005年1月1日、三重県津市の海岸で見られた浮島現象(撮影:白井靖敏さん)


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