113.鉱石ラジオ

(1)鉱石ラジオとは
   日本で初めてラジオ放送が始まったのは、1925年(大正14年)、東京放送局(後のNHK)に
 よるもので、当時の受信機はほとんどが鉱石を使って検波するタイプの受信機(鉱石ラジオ)
 でした。複数の電波を受けたアンテナの中で生じる振動電流から、コイルと可変コンデンサー
 からなる同調回路で音声信号をのせた特定の高周波電流を取り出します。ここから音声の低周
 波信号を取り出すところが検波器で、ここに鉱石を使います。
  検波器に鉱石が使われるのは、1900年頃、方鉛鉱や黄鉄鉱などの天然鉱石に一方向に電流を
 流して逆方向には電流を流さない整流作用のあることが発見されたからです。
 鉱石ラジオは「電池を使わないラジオ」であり、アンテナが受け取る電波のエネルギーだけで
 聞くラジオです。このノスタルジックな雰囲気を味わえるラジオを、天然鉱石を使って作って
 みましょう。

 

  

(2)準備物(おもな材料)
    <ラジオ用>:可変コンデンサー(バリコン)、コイル、クリスタルイヤホン(約200円)、
     100pFコンデンサー(数十円)、ゲルマニウムダイオード(鉱石ラジオ用 約30円)、
     みの虫クリップ付きリード線(4本)、アクリル板、
    <鉱石検波台用>:ゼムクリップ、木材、ボルト、ナット、金属板


(3)製作の手順
 @ アクリル板に、コイルとバリコンを両面テープで取り付ける。
 A バリコンのA端子に、コンデンサー(100pF)とみの虫クリップ付きリード線(以下、
  「リード線」とする)アを結びつける。
 B イヤホンの線1本とリード線エをたばねて、バリコンB端子に結びつける。
 C イヤホンのもう一方の線とリード線イをつなぎ、はんだ付けする。               
 D バリコンのA端子・B端子をそれぞれはんだ付けする。 
 E コイルから出ている2本の線を、A端子・B端子にそれぞれはんだ付けする。
 F コンデンサー(100pF)とリード線ウをつなぎ、はんだ付けする。

  

(4)調整の手順
 @ アンテナ線には水平に長さ数m〜数十m程度のリード線を伸ばしたものを使い、アー
  スには水道管などを使う。
 A アンテナ線・アースを接続する。
 B ゲルマニウムダイオードを接続する。
 C バリコンのダイヤルを回して、中間の位置にする。
 D バーコイルから出ているフェライトコアを抜き差しして、受信音量が大きくなるとこ
  ろで固定する。

  

(5)鉱石を使った検波の実験
 @ ゲルマニウムダイオードを鉱石検波台につなぎかえる。
    クリップの先はとがらせておきます。
 A 検波台に黄鉄鉱を置き、黄鉄鉱に接触させる針の位置を変えながら、放送の入る位置
  をさがす。
                                                                           
  

(6)アンテナ線がうまく張れていると、同調回路を省略して左図の回路でもラジオを聞く
  ことができる場合もあるようです。ただし、選局はできません。
   鉱石の検波だけに焦点をしぼれば、この回路でも実験できます。