205.逆転層モデル実験

(1)逆転層とは

 対流圏では、日射によって暖められた地面が最も高温で、上空に行くに従って温度が下がっていく
温度分布を持っていますが、局地的な気象条件によっては、上空に行くに従って温度が上がっていく
ような温度分布になることがあり、このような大気層を逆転層といいます。

 

 逆転層では、空気塊が上昇しにくくなります。これは、下の方で空気塊の温度が周囲より高くて密
度が小さい(軽い)ために上昇をしても、上昇するにつれて、周囲の方が温度が高くなって、密度が
周囲よりも大きく(重く)なってしまうためです。


(2)モデル実験

 モデル実験で、このことを確かめてみましょう。
 なお、実際の大気中では、上昇する空気塊は圧力低下に伴う断熱膨張によって温度が下がる効果も
あります。
 
<実験の方法>

@ 透明な容器の上部を湯で温める。
A 下から線香の煙を入れる。
B 煙の上昇がある高さで止まる。 


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(3)逆転層のできる原因

 逆転層ができる原因にはいろいろなものがあります。
 晴天のときに、昼間大気の温度が上がり、夜間に地面に放射冷却(赤外線を放射することで熱エネ
ルギーを失う現象)が起こって、地上付近に逆転層が生じることもあります。
 特に、海との相互作用が少なく、空気がよどみやすい盆地では、高気圧に覆われた穏やかな晴天時
に霧とともに逆転層が生じやすくなり、伊賀盆地などでは、秋の明け方に霧や煙が地上付近にたまる
幻想的な光景がよく見られます。