209.高々度放電現象(2005年秋〜2006年冬のスプライト)

(1)スプライトの発生しやすい条件

 スプライトは、積乱雲の中のプラス電気と地面の間で起きる雷放電に伴って、上空70kmあたりの中間
圏に瞬間的に現れる赤色の発光現象です。発見された歴史が浅く、まだまだ詳しいことがわかっていま
せんが、人工衛星からも観測され、研究が進みつつあります。
 一方で、よく観測すると肉眼で見ることも可能であることがわかってきました。
 遠くで雷が起きているときに、稲光の上の方に注目をしていると、一瞬の赤い光を目撃することがで
きるかもしれません。発光時間がきわめて短いので、視野の中心付近に現れないとみつけにくいと考え
られます。
 冬の北陸地方は、雲の中のプラス電気が放電する雷をもたらす積乱雲が発生しやすく、初冬から上空
に強い寒気が押し寄せた2005年11月〜12月には、たくさんの冬季雷が起こり、スプライトが頻繁に観測
されました。


(2)ダンシング・スプライツ(ランニング・スプライツ)

 人工衛星の観測によって、0.1秒間ほどの間に複数の場所でスプライトが発生する現象が発見されま
した。そして、地上からも、この現象が撮影されました。

3グループのスプライト群が次々と現れた例
2005年11月27日04h52m29s (三重県桑名市から北陸上空を高感度CCDカメラで撮影)

 第1グループ
 

 第2グループ (0.06秒後)
 

 第3グループ(0.12秒後)
 
 

映像を見る(2秒間)


(3)近距離に現れたスプライト群

2005年12月5日03時54分53秒 (撮影条件 同じ)
 


(4)円環上に配置される構造をもったスプライト群

2005年12月17日01時37分23秒 (撮影条件 同じ)
 


(5)明るいキャロット型スプライト群

2005年12月18日01時06分23秒