327.へき開・片理・葉理・層理・節理

 へき開・片理・葉理・層理・節理は、よく似た地学用語です。
 それぞれのちがいを写真や映像を用いて解説します。

(1)へき開

 鉱物の結晶構造において、原子間の結合力の弱い面がある方向で存在するときにおこります。
 へき開によってできた結晶面をへき開面といいます。
 鉱物の種類によって、へき開面が1方向の場合や2方向、3方向の場合があり、同定に使用
されることがあります。

 例 3方向 ダイアモンド(正八面体)、岩塩(正六面体)、
       方解石(平行六面体)、蛍石(正八面体)
   2方向  角セン石(約124°に交わる)、輝石(ほぼ直交)、カリ長石、斜長石
      1方向 黒雲母、白雲母
   
   へき開のないもの  石英、かんらん石、ガーネット、黒曜石

  なお、鉱物の割れ口を「断口」といいますが、特にへき開のないものの場合は、平面ではなく、
貝殻状・平坦状・多片状・針状を呈します。

 <岩塩のへき開の映像を見る>


(2)片理
 
 高い圧力で変成した結晶片岩にみられる構造で、雲母、緑泥岩、滑石のような鱗片状鉱物、角閃石、
陽起石のような長柱状鉱物が平行に発達することにより、一方向にはがれやすくなっています。
 へき開は鉱物にみられ、片理は結晶片岩という変成岩にみられるものです。

 <結晶片岩の片理の映像を見る>


(3)葉理(ラミナ)

 地層中に見られる縞模様のことで、堆積物を構成する粒子の大小・配列・色の違いなどで境界
が生じることによってみられるもので、層理よりも薄いものです。
 クロスラミナ(斜交葉理)は、葉理が斜めに切られるように重なっているものですが、最近で
はクロスラミナを斜交層理ともいう場合が多くなっています。
地層の中にさらに細かな構造としてクロスラミナがみえている (画像をクリックすると拡大します)
鈴鹿市御幣川(おんべがわ)
(4)層理

 地層と地層の境界面で、断面をみるとほぼ平行な縞模様としてみられます。

珪藻土の地層 1年で1つの層が作られています

(5)節理

 岩石に発達する割れ目のことで、マグマが冷却固結する際に生じた規則正しい割れ目に、板状
節理・柱状節理などがあります。
奈良県香落渓に見られる柱状節理