627.投影法による太陽観察

 屈折式天体望遠鏡を用いて太陽を観察する場合、フィルター(太陽用サングラス)を用いて
直視する方法と、太陽投影板に投影する方法があります。一般に、後者の方が安全です。天体
望遠鏡による投影では、微小な黒点まで観察したりスケッチしたりすることができます。しか
し、日食のときの太陽の形の変化を見るような場合、天体望遠鏡を使わなくても、ホール(穴)
や小さなおもちゃの双眼鏡を通った太陽光で像を作ることで十分に観察が可能になります。
 2009年7月日の日食などで、さっそく試してみましょう。

(1)ホール(穴)を使った太陽投影
 地上に映った木漏れ日の形がみな丸くなっているように、小さなホール(穴)を通った太陽
光で像を作ります。最も手軽なのは、テレホンカードにあいた小さなパンチ穴を使うものです。
何人かで同じものを見たい場合や少し大きな像にしたい場合、直径( )mmのホールを用いて
約150cm離れたスクリーンに映すとよいでしょう。下の紹介写真では、ホールの直径を変えて
太陽の映り具合がどのように違うかを実験してあります。
 
(2)小さなおもちゃの双眼鏡を使った太陽投影
 100円ショップで販売しているような小さな双眼鏡は対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに
凹レンズを使用したガリレイ式のものが多いようです。こうした双眼鏡を使って太陽を投影す
ると、ホールの場合よりもシャープに太陽像を観察することができます。下の紹介写真では、
筒を使って、ラミネートフィルムのスクリーンに投影する方式を示しています。

(3)屈折式天体望遠鏡を使った太陽投影
 市販の天体望遠鏡を使った本格的な太陽投影法です。接眼レンズを直接のぞくことが十分に
危険であることを全員がよく理解している状況で使用してください。また、接眼レンズ付近に
不用意に手を持っていくと火傷をするほどの危険があるので注意してください。
(1) ホールを使った太陽投影の実験
   
ホール(穴)から150cmの位置にスクリーンを置きます。(↓以下の画像は、クリックすると拡大画像が表示されます。↓)
ホールの直径を4種類つくり、太陽像にどのような違いがあるか実験しました。(左から、5mm・4mm・3mm・2mm)
太陽像の大きさはいずれも同じ。ホールが大きいと明るいが
輪郭がぼやけ、小さいと暗いがシャープになります。
スクリーンまでの距離が150cm程度の場合には、
観察しやすいホールの直径は、4mmくらいです。
参考までに、星形のホールを使うと、スクリーンが近いときは星形に映るが、150cmの距離ではほぼ太陽の形になります。
   (2) 小さな双眼鏡を使った太陽投影 
 
 角度を調節できるスクリーン。蝶番とストッパーを使用。
ストローを板に垂直に立て、影ができないように角度を調節。
 レンズを使っての太陽投影。100円ショップの双眼鏡。
対物・接眼のレンズ間隔を調節してスクリーンに像を作る。
対物レンズは、直径1cm程度に絞る。
   
スクリーンにはラミネートフィルムを使用し、反射光・透過光のどちらでも観察できるようにしました。
 レンズを使うことで太陽像を大きく、シャープにできます。
  
 (3) 屈折式望遠鏡を使った太陽投影
   
屈折式望遠鏡による太陽像の投影。微細な太陽黒点や白斑まで観察可能。
フィルターを用いて直視する方法より安全度が高いが、決して接眼レンズから射出する光を直接みないこと!
また、接眼レンズ付近に手を置くと大変熱く、火傷をすることもあるので注意が必要!