812.ラテラルアーク

(1)ラテラルアークとは

 巻層雲などの上層の雲に存在する氷晶に太陽や月の光線が当たって屈折することにより、様々な大気光象
が現れますが、ラテラルアークはかなり珍しい現象です。
 六角柱の氷晶の側面が長く、鉛筆のような形状をしているときには、図のように、六角形の底面が鉛直に
なる姿勢が大気中で安定し、この氷晶はおもにタンジェントアークを光らせます。この六角形の面がきれい
にできているとき、図のような光線に対して90°プリズムの役割をして見られる光がラテラルアークです。
 なお、もっと短い六角柱氷晶は姿勢が安定せずに、90°プリズムの役割をして見える光は46°ハロ(外暈)
となるのですが、太陽高度が低いとき、ラテラルアークと外暈はとてもよく似たものになり、一見しただけ
では区別がつきません。
(2)明るいラテラルアーク
 2011年2月20日(土)の朝に現れたラテラルアークを紹介します。とても明るく輝いているのはタンジェ
ントアークで、太陽からその約2倍の半径の位置でやや開いた半円状に見えているのがラテラルアークです。
太陽高度が21°と低く、46°ハロ(外暈)の上部が見えている状態なのか判断に迷うところです。
 ラテラルアークと判定できた理由は、次の3点で、特にBが決め手となります。
@ やや開いた形状(レンズの収差ではない)
A ムービーをみると、時間がたって巻層雲が移動しても、その下方に光が伸びていかない。
  (外暈なら、半円がもっと長くなって見えたりするはず)
B 同時に現れているタンジェントアークがきわめて明るい。これは鉛筆形の氷晶の割合がたいへん多い
 ことを示している。

(3)動画でみるラテラルアーク
  ↑ このアイコンをダブルクリックすると、ムービーが見られます。

 データ  7時04分〜8時26分まで、1分ごとのインターバル撮影を行い、10フレーム/秒の動画にしたもの。 (4)ソフトウェアによるシミュレーション結果  タンジェントアークの明るさが再現できる設定で、ハロをシミュレーションすると、外暈はまったく現れず ラテラルアークが現れることがわかりました。このシミュレーション結果は、写真ととてもよく似ています。 (ソフトウェアは「Halosim」を使用)