1002.「カノープス」を見よう!(南中時刻)

(1)カノープスとは

 「カノープス」(りゅうこつ座α星)は、全天に21個ある1等星の1つで、太陽をのぞくと
おおいぬ座のシリウスに次いで全天で2番目に明るい、マイナス0.62等の恒星です。
 カノープスの赤緯はマイナス52.7°なので、北緯37.3°では南中時にちょうど真南の地平線
に位置することになります。このことから、カノープスはなかなか見る機会の少ない恒星とい
うことがいえます。
 しかし、三重県津市の緯度は北緯34.7°で、南中時の高度は2.6°ですから、条件さえそろえ
ば十分に観察できます。

(2)津市でカノープスを見るための条件

 @ 真南の方角に高度2.6°以上の地形起伏や建物、明るい人工光が存在しないこと。
 A 南中時刻を知って、その時刻の前後に観察すること。
 B 真南の低空が晴れていること。

 適した観測地はあらかじめ見つけておくとして、Aの南中時刻を意識しておくために、次の
表「カノープスの南中時刻(三重県津市)」を作りました。
 10月 1日  05時40分
 10月16日  04時41分
 11月 1日  03時38分
 11月16日  02時39分
 12月 1日  01時40分
 12月16日  00時41分
 1月 1日  23時35分
 1月16日  22時36分
 2月 1日  21時33分
 2月16日  20時34分
 3月 1日  19時43分
 3月16日  18時44分
(3)大晦日のカノープス

 カノープスが大晦日の深夜前に南中し、0 時にも地平線上にあるということを覚えておくと、
そこから1ヶ月ごとに 2時間をずらしていくことで、およその南中時刻を覚えておくことができ
ます。
 また、条件Bの真南の空が晴れていることについては、冬の太平洋側は天気が良く、好条件
の夜が多いといえます。
 桑名市で、大晦日の晩にカノープスが見えるかどうかを13年間調べたところ、13回中8回も
カノープスを見ることができました。
 次の写真は、大晦日の晩に撮影した「冬の大三角とカノープスの日周運動」です。
撮影データ 2018年12月31日23h20m〜2019年1月1日00h09m(50分間)
    (10秒露出×270コマ 比較明合成)
       NikonZ6+24mmf/1.4(絞りf4) ISO800
     WB:太陽光 ピクチャーコントロール:ニュートラル
       Kenko prosoftonA フィルター使用