1009.チンダル像−雪結晶構造をもつ氷の空洞−

(1)チンダル像とは

 水蒸気が昇華して氷に状態変化するとき、樹枝状六花などの結晶構造を作ります。
これは、水素結合の性質が原因となっています。
 一方、氷の内部に光があたって融解するときにも、この結晶構造の空洞(水)が
生じます。
 ジョン・チンダルが氷河の中に発見し、研究したことから、チンダル像と呼ばれて
います。
 この現象が見られるためには、ある程度の部分が単結晶の氷になっている必要があ
ります。

(2)実験の方法(中谷宇吉郎雪の科学館HPを参考にして実験しました。)

 @ 発泡スチロールの箱に深さ5cm程度の水を入れ、ふたをせずに冷凍庫に入れる。
 A 表面に厚さ1〜2cm程度の透明な氷ができたら、冷凍庫から出して、表面が少し
   融けるまで放置し、その後、氷を取り出す。
 B 適当な大きさにカットし、氷の表面を金属の平面でこすって平らにする。
 C 500ワットくらいの強い光を氷に照射する。
 D <観察方法>
    
   方法1 ルーペや実体顕微鏡で観察する。

   方法2 OHP(オーバーヘッドプロジェクター)でスクリーンに投影して観察
      する。
   ※OHPはかつてはどの学校にも必ずありましたが現在はほとんど廃棄されて
    いるようです。OHPで投影したチンダル像はとても観察しやすく、多人数
    で見ることができるので、最も適した観察方法です。

(3)チンダル像の画像とその解説

 実際に行った実験で撮影したチンダル像です。(コントラストを強めてあります。)
 ここに見られる樹枝状六花の結晶形の正体は「融解した液体の水」です。
 また、結晶形の中心に丸い泡が見えますが、これは、氷が融解して水になるとき、
体積が減少するために生じた、真空の泡(厳密には気圧の低い水蒸気)です。