1010.金環食(2012年日本) (1)金環食とは 太陽−月−地球が完全に一直線上にならぶときに、太陽と月のそれぞれの見かけの 大きさによって、皆既日食になる場合と金環食になる場合があります。 見かけの大きさが太陽より月の方が大きい場合には、太陽は完全に隠されて「皆既 日食」となり、月の方が大きい場合には、月の周囲に隠せなかった太陽が見えてリン グ状に輝く「金環食」となります。 太陽と月の見かけの大きさが変化する理由は、月、地球の公転軌道がともに楕円軌 道であることから、月−地球、太陽−地球の距離が変化するためです。 皆既日食では太陽の光が完全に隠されて地上はかなり暗くなり、太陽の周囲にはコ ロナが見えますが、金環食ではそれほど暗くはならず、またコロナを見ることもでき ません。 (2)2012年の金環食 2012年5月21日の朝、日本で金環食が見られました。当日、三重県では伊勢湾から 層積雲が広がってきて、金環食が見られなかった所もあるようですが、雲を通して金 環食の見られた場所が多かったようです。前日まで、金環食を安全に観察するための フィルターを使った「日食めがね」がコンビニエンス・ストアや書店など、さまざま なところで販売されていましたが、適度な厚みの雲によって減光され、フィルターな しで観察することができました。 なお、日本で金環食が見られるのは21世紀では最後となる貴重な機会でした。
(3)ベイリー・ビーズ 金環食で太陽と月の縁が接するとき、月面の凹凸地形が原因で太陽光がビーズの ように連なってもれてくる現象を「ベイリー・ビーズ」といいます。