1203.「ハロのマルチディスプレイ」

(1)ハロのマルチディスプレイとは

 大気中の氷晶がプリズムの役割をして太陽や月の光を屈折させることによって、さまざまな
大気光学現象(ハロ)が生み出されます。
 氷晶は主として六角柱の形をしていますが、底面が広く側面の長さが短い「平板」の場合と、
底面に比べて側面の長さが長い「鉛筆形」の場合では、空中における安定姿勢が異なるため、
それぞれが異なる種類のハロを見せます。(表)

「平板」結晶 :環天頂アーク、幻日、幻日環、120°幻日
「鉛筆形」結晶:タンジェントアーク、パリーアーク、上部ラテラルアーク、下部ラテラルアーク
中間のタイプの結晶:22°ハロ

 氷晶のタイプが混在する好条件のとき、これらの現象が同時に出現することがあり、これを
ハロのマルチディスプレーといいます。
(2)2021年1月11日のハロのマルチディスプレイ

 この日、三重県でハロのマルチディスプレイが見られました。地上付近の氷晶ではなく、上層
の巻層雲の氷晶によって生じた現象で、焦点距離14mmの超広角レンズを用いて撮影したものです。
パリーアークがタンジェントアークと明瞭に分離して見られること自体がとても珍しく、さらに
これらと異なるタイプの氷晶による環天頂アークもきわめて明るく鮮明に輝いています。
 この画角で入りきらなかった、120°幻日、下部ラテラルアークです。