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2007年7月

「タンジェントアークと内暈」 (四日市市 7:57、 津市 午前)
 
     昨夜の月のハロは、飛行機雲を起源とする巻層雲によるもののようでしたが、上層雲が
     増えつつあることが予想されました。
     そして朝は、広い範囲が巻層雲に覆われ、桑名市から津市までタンジェントアークの
     見られたことが確認できました。
     タンジェントアークは、六角柱の高さの比率が大きい(鉛筆のような形)氷晶が、雲の中を
     静かに降るとき、六角形の面を鉛直にして分布しやすいこととそれによる太陽光のプリズム
     効果によって生じます。太陽の内暈(半径22°)の上端に接して現れる曲線なので、
     「上端接弧」とも呼ばれます。太陽高度が低いときは、下に凸の曲線を描き、太陽高度が
     高くなるにつれて、水平から逆に上に凸の曲線に変わっていきます。
     今日のタンジェントアークも、朝に見られたものが下に凸、その後だんだんと内暈に近づき
     ながらその区別がつきにくくなっていきました。
     午前から午後にかけては、完全な円形の内暈が長時間見られました。これは、氷晶の六角形
     の面と直径と高さの比が1に近いとき、氷晶がランダムな向きに分布していることが原因です。
     そういえば、昨年の春、ある新聞に『完全な円形に見られる内暈は珍しい』という解説が掲載
     されていたのが少し印象に残っているのですが、この1年間に撮影したものだけでも、12回
     ほどそういったものがありますのでけっしてめずらしいものとはいえません。
     むしろ移動性高気圧と低気圧が次々やってくる春の季節には、高気圧から低気圧に変わる
     ときに巻層雲に覆われ、3〜4月頃には内暈が頻繁に現れて、完全な円形になるものもよく
     見られる、というほうが的確な気がします。
     ともあれ、春は巻層雲のハロの季節ですね。巻層雲は薄くて高い雲ですので、そんな雲が
     やってきたら、いろいろなハロが出現していないか、ちょっと空を見上げてさがしてみましょう。
    
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桑名市 7:38
太陽高度Hs=+18.7°
四日市市 7:56
Hs=+22.2°
7:57 対角線魚眼
タンジェントアークが下に凸
 
7:57
津市 10:26
Hs=+47.5°
10:47
Hs=+49.9°
11:18
Hs=+52.6°
12:46
Hs=+52.6°
12:56
Hs=+51.9°
12:57
気象庁・東京大・高知大提供のひまわり可視画像 12時
(気象庁・東京大・高知大提供のひまわり赤外画像と気象庁・メテオプラネット提供の天気図を合成)

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